『戦争の中の京都』
『戦争の中の京都』中西宏次 岩波ジュニア文庫
「京都は第二次大戦の被害を受けなかった」と言われている。私は少なくとも聞いたことがある。京都の文化財の保護を強く訴えたアメリカの人の意見が通り、京都は空襲を受けなかったという話だ。
しかし、実は京都も空襲を受けた。京都は文化財保護のために空襲をしなかったのではない。実は原爆の投下候補地であったのだ。建物疎開。金属の拠出によるお寺の梵鐘を含めたさまざまな文化財の損失。そしてもちろん徴兵。大阪や東京の大空襲。長崎や広島。確かにそれらの大都市の受けた大きな被害に比べれば・・・という面もあるかもしれない。しかし決して少なくない被害を受けていた京都の町のことについて、京都で生まれ育ち、そしてご本人も戦争の被害を受けている著者による報告。
「何万人が被害を受けた」そんな数字ではない生の記録。
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