『夜と霧』
『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル みすず書房
いつだったろう?かなり前に、「リーディングラボ関西版」におじゃました際にご紹介頂いた1冊。
ナチスによる強制収容所に送られたユダヤ人の精神医が、その悲惨な体験をできる限り感情をこめずに冷静に記録した作品。どれだけ冷静に客観的に書いてもその悲惨な体験は目をそむけたくなる。彼が生き残れたのは数々の奇跡的な偶然が重なったことによる。しかし、戦後も体験した人々の精神的な傷は癒えない。ともに強制収容所に送られ、帰ってこなかった家族が居た人々。あるいはその時の体験を周囲の人々が十分に理解できない(あまりに大変なその体験を体験できない人が認識できるはずもない)ために、1人で苦しみ続ける人。逆にその体験があるがゆえに傲慢になってしまった人。そしてそういう極端でなくともやはり人に語ることのできない傷を心の底に残す人々。
わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ
人々はただ、泣き叫び絶望するのではない。収容所でも人々は生き続ける。悲惨ではある。しかし同時に人はどんな環境でもやはり生きているのだ、ということを実感させられる。しかし、あまりに惨い。
読んだのは確か7月。日本人にとって戦争を特に意識する8月を前にこの本を読んだことがとても大事な体験だったと思った今年の夏であった。
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コメント
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