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2010-05-23

『現代アートを買おう!』

『現代アートを買おう!』宮津大輔 集英社新書
誰だったか、ある会社を訪れた時にロビーに印象派の有名な画家の作品が展示されていて「がくっ」となった、というのを先日読んだ。ようは絵、というと印象派だ、なんだと自分の審美眼を持たず、ただ著名な作品にばかり目が行く程度の低さを批判した文だったと思う。
そういう物言いも鼻につくのだが、でもアート、というものに対して物怖じしてしまい、「私は好き」というものの見方をできないのは自分も確かだ。特に現代アート(その表現手法がどんなものであれ)、となるとそのよさがわかったら素敵だろうな、だってその作家と同時代に生きているのだから、と思うのだが、残念ながらそのよさがわからない、ということも多いし、逆を言えば、著名な過去の作家であれ、そのどこがすばらしいか、とか自分がはっとなる、というものはたぶん、ほとんど無い。どれも「有名だから」とか「なんとなく好き」程度で、その表現力や技術に圧倒される、ということはまずない。もちろん奈良美智にせよ、草間彌生にせよ、村上隆にせよ、著名であることやその作品の雰囲気は知っているけど、良い、と感じたことはないし、恥ずかしながら実物を見た記憶も無い(奈良美智はあったかもしれない)。ましてや他の有名な現代アーティストなんてほとんど知らない。あ、塩田千春さんは好きだけど、それもアートという括りかどうか・・・常に圧倒されている。
さとなおさんが、先日、映画「Herb & Dorothy」のことを紹介していた。お世辞にも金持ちとはいえない、アメリカのボーゲルご夫妻がこつこつと本当に自分が好きなアート作品を集め続け、屈指のコレクターとなっていく。しかも、1LDKの住まいに収まりきらなくなった作品をワシントン・ナショナル・ギャラリーに寄贈することになったのが、トラック5台分にも及ぶそれは70年代のコンセプチャルアートを中心としたアートの歴史における重要な一角を占める極めて貴重なものだった、という話。(『現代アートを買おう!』とさとなおさんの『すばらしい映画「Herb & Dorothy」』より)

ブルータスやペンで印象派に関する特集がされている流れに反発を覚えつつ、無知な自分が現代アートに関し、少しでも知れたらと思って買った本書。
ボーゲルご夫妻よりかはたぶんお金持ちだと思う著者は、自他共に認めるアンダー1000ドルの人。購入価額が100万円を超えるものはほとんど持たない。そんな彼が年収以上の買い物をした、という500万円の草間彌生さんの作品との出会いや、あるいはアーティストといっしょに建てたドリームハウスの話。あるいは取り壊されてしまう自分の実家を撮影してもらう話。どれもじんわりと暖かく、微笑ましい。

庶民、というにはいささかお金を持ってそうな著者。でも大切なのはお金よりもアートへの思い。そのことは伝わった。でもコレクター。大変そうだなあ。

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