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2010-03-09

ビルマ軍事政権とアウンサンスーチー

『ビルマ軍事政権とアウンサンスーチー』田辺寿夫・根本敬 角川書店
先般お邪魔したタイ。
その隣国ビルマについて話題があがり、同行した方からお借りする。
学者として、ジャーナリストとしてビルマに関わる両氏の素直な報告書。
近代のビルマがたどった道のりと、深く関わる日本。ビルマ国民の実情。難を逃れて日本に移住した人々の暮らし。難民認定や外交で頑なな日本の態度。なかなか難民を認定しようとせず未だ軍事政権を支えようとする日本。選挙で圧倒的勝利を収めた野党NLDに政権を委譲せず、逆にNLD党員を選挙違反などで無理やり逮捕したり圧力をかけたりして押さえ続けるビルマの軍事政権。
NLDの、民主化運動の、象徴たるアウンサンスーチーは今も軍事政権の監視下にある。アウンサンスーチーを見る日本の政界、ビジネス界は彼女を頑固な主義者としてしか見ないが、軍事政権を全面否定するのではなく、柔軟な打開策を模索し続け、暴力を発生させないことを全面的に徹底し続ける彼女は決して強い信念はあるが頑なではない。しかし、未だ、対話を求める彼女に対し、軍事政権側はそれを頑なに拒み続けている。

彼女のやり方を象徴する彼女の喩えがある。
圧力鍋がキッチンで破裂したら、呆然と立ち尽くすか、生産会社に苦情を言おうとするかもしれない。だが1番最初にすべきことはキッチンの掃除だ。私がやりたいことはそういうことです、そういう彼女の発言は実に理にかなったものだ。
そしてこんなエピソードも。地方にNLD幹部と遊説に行った際、その町の兵士たちは彼女らへの発砲命令が降りていた。兵士たちに気付いたアウンサンスーチーは、幹部らに道の脇を歩かせ、自分だけが真ん中を歩くことで周りに被害が及ぶことを避けた。兵士たちは結局撃てなかったという。兵士たちは震えていたという話もある。

軍事政権下で経済は悪化し続け、一部の富裕層をのぞけば、正業の収入だけでは数日分の食糧しか買うことができない国。

何も考えずにミャンマーという言葉を使っていたがこれも軍事政権側の要求。もともとその名称が本来のものだとしても、今後はビルマと呼んでいきたいと思った。

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コメント

むかし、きむさんから「事情を知るひとはミャンマーという呼称を使わない」と聞き、僕も遅まきながらビルマについてすこし知る機会を得、日本との深い関わりについても知るようになりました。

同時に、うずたかく専門化されてしまった社会構造のなかで、社会との接続方法をどのように考えてみてもビルマと僕個人の距離が遠く、考えると滅入ってしまいますね。

とりあえずはミャンマーと呼ばないことしかできないけれど、それしかできなくても、すくなくともそれはしようと思ったことでした。

なんかいつもながら変なコメントでごめんなさい。

以前、「ほっとけない世界のまずしさ」という運動がありましたね。一人一人が自分の政治的意志を示すことはとても大事だと思います。それが「ミャンマー」とは呼ばないという在り方だとしたらやはり大事だと思います。
そういう「幻想」を共有していきたいものです。

しかし、きむさん。さすがだなあ。

You actually opened up on another level here. lol. You can write more and have us looking for it. Keep the content flowing. Thanks again.

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