性別と色。
ピンク色の服を着せられた女の子を見ると思い出す話がある。
富士見ファンタジア文庫の神坂一『スレイヤーズ』の話なのだが、この世界の魔法使いは魔道士協会から「色」を与えられる。正装はこの色のローブとなる。
主人公のリナも色を与えられたが、この色をとても嫌がっていた。協会の担当者から「じゃあ、女の子らしくピンクで」という安直かつ恥ずかしい指定をされてしまったからだ。
男性は黒か青、女性は赤という印象がある。対して私が通園した幼稚園などでは、男の子は水色、女の子はピンクに色は統一されていた。 しかしこの色指定について考えてみるとまだ未発達な子供だから色が薄いのではないかと思うとなかなかに興味深い。
さて、今回の主題は赤である。小学生の頃、赤は女の色という意識があった。しかし元気で活発な男の子がよく赤を着ていてなんだかそれがかっこよかった。
男の子と赤というのは不思議な関係で、女性の色という印象があるのに、戦隊もののリーダーは赤であり、そのリーダーは男だった。武田氏、井伊氏や真田氏のように戦国時代、勇壮で知られた武将は赤の印象が強い。戦意を鼓舞し、高揚させ、さらに目立つため、相手の戦意も挫くことができる。中国の舞台でも赤は関羽のような好漢の色で、青は曹操のような悪漢の色であったと思う。だが、漢民族の象徴・漢は確か陰陽五行の関係で蒼だったと思うのでこれはまた興味深いわけだが。(多分に王欣太の『蒼天航路』の影響だが、「蒼天すでに死す」は史実だよね?)ガンダムの赤い彗星シャアのモデル、撃墜王マンフレート・フォン・リヒトホーフェンもやはり赤だった。闘牛士も赤い布を振り回す。つまり戦いにおいて赤は強さの象徴だった。だからこそ戦隊もののリーダーは赤である。
でもやはり町のサイン板やなんかでもなんとなく赤は女性のものであった。この由来はよく知らないが、思い出すのは赤不浄という言葉でこれは月経の経血を意味する。ちなみに黒不浄は死を意味していたと思う。まあでも赤は華やかな色でもあるし、女性と華やかさをくっつけた、ということでもあるのかも知れない。赤といえば朱雀で朱夏で南方。青は青龍で青春で東方。黒なら玄武で玄冬で北方。これはあまり関係なさそう。
話があちこち飛んだ。
でしゃばりだけどひ弱で男らしさのかけらもない私は、でも女っぽいという当時、最大級の侮蔑を恐れ、女の子を象徴するものから縁遠くあろうとした。そんな小さな恐怖をものともせず赤を身にまとう「男らしい」クラスメートはかっこよかった。まさに戦隊もののリーダーのようであった。
そういう存在に憧れながらやはり周りを気にして動かない自分は今も変わらない。
赤はそういう意味でいまだに自分にとって特別な思いのある色かもしれない。
コメント
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蒼天已死は史実だけど、漢王朝は火徳でイメージカラーが赤なんだよなぁ。
土は黄色で五行は火生土だから、黄天なのは理解しやすいんだが。
気にはなっているし考察しているサイトも多いんだが、どうもいまだに腑に落ちず。謎だ。
投稿: ミヤモト | 2010-01-11 16:57
今日、名古屋空港で赤、黒、緑、青の4機のヘリコプターがとまってるのを見ました。
、、、戦隊モノ???
写真撮っちゃいましたよーw
投稿: 翔風 | 2010-01-11 22:01
ミヤモトさま。
ああ、やはり。なんだか漢の色に違和感があったんだよなあ。引き続きの調査をお願いしたいところだね、ミヤモト研究員。
翔風さま。
戦隊モノ?同じ形のヘリコプターなんですか?イエローやピンクが無いのが渋いですねw
投稿: sheep | 2010-01-11 22:45
スレイヤーズ懐かしいwドラまたリナかぁw
僕は服などは落ち着いた色の物しか買わないのですが、
sheepさんの書いているような理由で、
赤色に憧れ赤色が好きです。
ただ、着こなせないですが…
投稿: たこすけ | 2010-01-12 10:07
どうしても落ち着いた色にいっちゃいますよね。
まあこの年で「女みてぇ」なんてからかってくるバカなガキがいるわけでもないわけですし、幼い頃のように「赤イコール女」とも思ってはいるわけですが。しかし赤は難しいですよね。
投稿: sheep | 2010-01-12 16:20
Yes. It should perform. If it doesn’t send us an email.
投稿: Eva | 2014-04-06 12:45