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2009-08-14

『夕凪の街 桜の国』

『夕凪の街 桜の国』こうの史代 双葉文庫
私は小学校の道徳の時間で日本国内における第二次大戦中の被害と部落差別の悲惨さを徹底的に教わった。
あまりに徹底的な教え方だったので、理性で「嫌い」「いけないこと」という風な形ではなく、感覚にまで染み付いている気がする。それでちゃんと私が高い倫理観を持った人間に育っていれば良いのだが、残念ながら聖人君子とはかけ離れた人間であるという自覚はある。
しかし民間人を巻き込む戦争は決してしてはならないと思うし、人間同士で差別をしてはいけない、という意識は強く持っているつもりである。といいながらも知らず知らず人を差別している気がする。それでもそれが差別的行為だと認識したら極力行わないよう努めているつもりではある。
日本国内における第二次大戦中の被害に関してもかなり意識の深いところで拒否しているため、「原爆」「ピカドン」「ピカ」「焼夷弾」「~大空襲」などの言葉は聴いただけでぞっとする。小学校の修学旅行は広島における主に平和学習を目的としたものであり、心の底から行きたくなかった。
「根」のところで拒否反応を示すきっかけは、小学校一年生の時の夏休みの映画上映会だろう。タイトルは「ピカドン」。何の予備知識も確か与えられない中でいきなりあの映像を見せられたらトラウマにもなる。しばらくの間、晴れた日の空を見るのが怖かった記憶がある。小学校で持ってくるのが許されたのが『はだしのゲン』だったわけであるが、みんななんで平気な面をしてこんな漫画が読めるんだ、と本当に不思議だった。自分で手にしたことは一度も無い。広島の修学旅行で行った平和資料館もほとんど目を閉じていた気がする。

さて、本書は被爆者でも被爆二世でもない広島出身の著者が、編集者から「ヒロシマ」について描くことを薦められて描いた一冊であるとあとがきにある。
時間軸としての原爆投下のシーンは無い。舞台は終戦後10年目と、現代(正確には42年後~59年後)の広島(と東京)である。それぞれ1人の少女を主人公としており、2人にはかなり深い関係性がある。一見ある程度傷跡が癒されたように見える広島に残る深い爪あとを描く。「うわっ」と目を背けたくなるシーンは無い。じんわりと泣きたくなる一冊だった。
みるもりさんに薦められていたのだが、正直手が出なかった。夏休みで比較的精神的にも余裕があるのでようやく手が出た。読んでよかったと思う。
後半の主人公の友だち東子が、平和資料館を出た後、吐くシーンには特に共感した。そして改めて感じたのだが、今まであの悲惨すぎる資料館を作った人々の神経をぼんやりと疑っていたのだが、きっと必死の思いで作ったんだろうな。並大抵ではない。なんとしても後世に残そうという思いの結晶があの場所なんだと今更ながらに気づく。だからといって行きたい場所ではないのだが、原爆の悲惨さがわからない世界中の人にぜひ行って頂きたいとは思う。行ってもなお、原爆が人類に必要だと思える人がいるとは思いたくない。

この本は直接原爆の悲惨さを知ることができる本ではないかもしれないけど、副読本としてぜひ1度、読んでほしいなあと思える1冊でした。本当に読んでよかったです。

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コメント

あからさまに教条的でもなく、誰を責めている訳でもなく、でも、おちついて描写されていていいマンガですよね。僕も友人にすすめられて読みました。

sheep さんの原爆についての印象に非常にシンパシーを覚えます。僕も数年前の自分の誕生日に、ずっと逃げ続けてきたけど一回広島にいかなくちゃ、と電車に乗ったことがあります。まだ大学に勤めていて、sheep さんの担当教員さんと、仕事上のやり取りが多かったので、彼に、たわむれで「いま広島にいるのだ。自分が何を恐れていたのかを見に来たのだ」と書いたら、「自分がもっとも軽蔑するのは、広島の原爆を題材にした戦争文学を取り巻く風潮である。なんでも広島のことを書けばよい本だとほめるのは、思考停止に他ならない」と返事が返ってきて、ああこの人も決まり文句の嫌いな、面白い人だなあと思いました。

さておき、たしかに、という言葉が当てはまるかどうかわかりませんが、『はだしのゲン』には、僕も、よくも悪くも煮え湯を飲まされましたが、あんまり、こうの史代のように静かに強く描くことのできる人ってなかなかいませんよね。戦争をテーマにしている訳じゃないけど、思い出すのは高野文子くらいかなあ。男子はだめなのかしら。乱暴なだけで、強くは描けないのかも(ジャンプ読んでるのが悪いのかな?)。ところで、こうのさんは『この世界の片隅に』もいいですぜ。

shibataさん、ありがとうございます。
広島に行かれた時のお話はだいぶ前にお聞きしたことを思い出しました。そういえばそんなことをあの方も言ってましたねえ。こうの史代さんはみるもりさんが好きなので、shibataさんのこのコメントを彼女も読んで「ほほお、じゃあ次回は『この世界の片隅に』を買おう」と宣うていました。高野文子も確かに描き方は似ているような気がします。こちらも彼女がファンであり、私はその脇で1、2冊を読んだに過ぎませんが。
『はだしのゲン』自体は良し悪しを論ずるにあたり私は読んだことも無いのでその資格を持ちませんが、まあ、男性と女性では確かに表現の手法には差が有る様な気もしますよね。安易に男女差だと言ってしまうとこれもまたある種の人々を刺激してしまいますし、私自身決して安易な判断をするべきだとは思わないわけでは有りますが。どうもなあ、少ない読書経験を通じて考えてしまうのは男の表現方法はどちらかというと短絡的な気もするんですよね。こう書いてしまう私もまた短絡的なわけですが。

夏の青い空がたまらなく嫌いです。正確には怖いのです。小学校の平和学習からだと思います。だから夏が嫌いでした。
「はだしのゲン」は学校の平和学習でアニメ映画を見ました。厳しい作品ですが、あるべきだと思います。
「ほたるの墓」も見ることができませんが、良い作品だと思います。
広島にも行かなければ行けないと思っていますが、まだ行けません。
最近の小学校では、平和学習の時間が少ないそうです。原子爆弾の落ちた町の名前を言えない子供がいると聞きました。
私はどちらも私の子供に見せたいと思っていますが、どのタイミングで見せるか悩みます。

くろ。(愛知出身)は、学校で同和問題についてほとんどやらなかったと言います。関西圏と関東圏では温度差があるようですね。私は京都なのでしっかりやりました。でも・・・。大きくなって地元にあるいくつかの場所の存在を知りました。残念ながら、進んで行こうと思えません。
私は差別をしているのでしょうか?建前と現実に戸惑います。

  「戦争反対」と言いながら、なぜ人は兵器(戦艦や戦闘機など)をかっこいいと思ってしまうのでしょうか?
  ガンダムだって戦っているのに??

しろ。さま。
地方によって、道徳の時間の割き方には大きな違いがあると聞いたことがあります。確か村上春樹も地域にっよる教育の落差に困った体験をしていたとか。
やりすぎな地域もあるんだと思いますが、やらないよりかはずっと良いですよね。
「ほたるの墓」のことも書こうと思ったのですがやめました。あのお母さんの死は、原爆以外にも同じようにひどい死に方をすることがあるのだとはじめて知った場面です。

ガンダムなどの作品好きに関しては弁解のしようもないんですけどね。でも、あの手の作品って基本的に無関係な市民が殺されるシーンが殆ど無いのが好まれる理由でしょうか?作品によってはむごたらしく人々が殺されることで戦争の悲惨さを伝えている作品もありますし、そこが人々に愛されている場合もあります。
個人的には濃いアニメファンほど、そういう悲惨な戦争を描いた作品を好んでいる気もしなくも無いですが。そして戦艦や戦闘機が好まれるのも、基本的に市民を殺すより、兵士同士の殺し合いの道具だからそこが好かれるのかも。爆撃機のプラモデルとかあまり見かけませんしね。

「夕凪の街・・・」はパラパラと立ち読みしました。
しかし感想が言えるような読み方してないです。

「はだしのゲン」映画は、2を小学2年生の時見ました。
衝撃でしたね。原爆を知ったきっかけ?かなあ。
しかし広島は機会もなく行ってません。
長崎は去年観光で行きました。

んで同和問題。
申し訳ない、、、教科書で一瞬見かけただけで、授業でまともに取り扱われた事も無く、正直知りません。
道徳の授業は、道徳の教科書を読んでそれについて意見出したりとか、教育TVちょっと見たりとかでした。

大学以降、沖縄と北海道は気にしてます。あとイラク。
池澤夏樹さんの影響です、、、

素人だし、どうしてみんなで一斉に核放棄、戦争放棄ができないんだろうと思ってしまいますが。
そんな事わざわざしなくても、悲しい事なんかいくらでもあるのにね。

ご無沙汰しております。
最近すごく好きな漫画家さんの話題だったので・・・
『夕凪の街 桜の国』すごいですよね。非戦反戦とか反核とかそういう議論を抜いた部分であんな発信のし方ができるなんて。。
『この世界の片隅に』もとっても素敵な話ですよ。ぜひぜひ読んでみてください。

あと・・蛇足ですが、今Webで書いてはるものに、戦争のことを描いた気持ちみたいなのを書いておられました。よろしければご覧ください。
http://blog.heibonsha.co.jp/heibonclub/archives.html

昔の私は初恋の人が戦争に行くこと(徴兵)を考え、怖かった。
今は最愛の息子が住む世界に戦争なんてなければいいのにと思う。

兵士の話。「報道が教えてくれないアメリカ弱者革命」(堤未果) 勧めます。兵士のなら死んでも良いなんて詭弁じゃないですか?
争いを嫌いつつ、そこに美学を見るのは人間の性なのかもしれませんね。

翔風さま。
地域性が出てますね~。関東と関西だとあからさまに出そうです。沖縄と北海道というと、土地の人々と流入者、そして基地や大国との関係性でしょうか?自分の好きな人の思いって、やはり伝わりますよね。大事だと思います。

きたいさま。
ご無沙汰をしてます~。ここにもファンが。
ブログ、今日はじっくり拝見できないので、今度しっかりと拝見をさせて頂きます。ゆっくりと味わってみたいと思います。

しろさま。
そうですね。徴兵というものの恐ろしさ、小学校の頃は真剣に不安でした。いつか日本がまた戦争をはじめたら、私も徴用され、どこかで死んでいくんじゃないかと。いつの頃からかそういうことを考えないようになってしまいました。この日常による麻痺感が危険なんですよね。きっと。いろいろな方向に思考は飛ぶのですが、うまくまとまりません。

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