『ロング・グッドバイ』
『ロング・グッドバイ』レイモンド・チャンドラー 村上春樹・訳 早川書房
総頁数、711頁!コンパクト版なんだけど、何しろ分厚くて重い。
ハードボイルドな小説ってほとんど読んだことがないので戸惑った。
フィリップ・マーロウ。タフなナイスガイなんだろうけど、なんで言わなくていいことばかり言うのか?「ああ、そんなこと言わなきゃいいのに」と思うことばかり。
事件は唐突に起き、マーロウはどんどん巻き込まれていく。関係が無さそうだった個々の事件はつながり、最後には1つの輪になる。
村上春樹が解説に書くとおり、いささか女性の描き方はありきたりだが、男性の描き方が非常に多様でリアル。実に男くさい連中ばかり。
村上春樹が翻訳をするとなんだかみんな村上春樹の「僕」が主人公に見えることが多いのだが、マーロウの個性はそう感じはさせなかった。しかし、マーロウとテリー・レノックスの関係性は「僕」と「鼠」の関係にも思えなくも無い。「五反田くん」にもね。
こまごまとしたくどい描写。逆に極めてあっさりとした重要な場面。この軽重の落差にはびっくりだが、一場面一場面どれもなんどか読み直したくなるのは確か。清水俊二氏による訳との読み比べも楽しみになった。
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コメント
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Major thankies for the blog.Really looking forward to read more. Cool.
投稿: Makayla | 2014-01-22 15:53