『戒厳令の夜 上・下』
『戒厳令の夜』五木寛之 新潮文庫
数年前。当時の上司と民俗学の話を確かしていて薦められた本のうちの1冊。
他に薦めれたのは半村良の『産霊山秘録』や折口信夫など。当時、大体読んだのだが、この1冊は見つけられず。しかし職場の図書館にあったのは盲点だった。基本的に本屋でのめぐりあいをいつも楽しみにしているので。
食事中に別の人と話題になって、思い立ったが吉日。借りる。往復の電車で3,4日で読む。
非常に意欲的な内容。ナチス、日本の疑獄。右翼。スペインの内戦、山人。サンカ。海女。炭鉱。チリの平和的な社会主義への移行と陰謀。詩人・ネルーダ、音楽家・カザルス、そして伝説の画家・ロペス。キーワードが実に盛りだくさん。決して尻切れとんぼな感じは無いのだが、それにしても盛り込みすぎでちょっとぼやけてしまった感じが。これだけのテーマを入れ込むならあと数巻は書くべきだったんじゃないかと。ある程度、スムーズに主人公・江間を導く鳴海望洋氏の思惑通りに話は進むが後半は数度の大どんでん返しで驚かせる。小説として非常に良くできた1冊。しかし、それにしても盛り込みすぎ。そんな感じ。
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コメント
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投稿: Bailey | 2014-01-23 03:22