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2008-06-29

『The Road』

『The Road』コーマック・マッカーシー 黒原敏行・訳 早川書房
先日、お酒を呑んだ今度、お辞めになる同僚の方から頂く。「読んでみて下さい」と言われて。彼は作家さん。彼の書く作品は最初の数十頁が読みにくいがその後はすごくのめりこめる作品を書かれる。そんな彼が大好きな作家だそうで。

研修の本ばかり読んでいたので、逃避のために読み始める。しかし二日酔いの頭にはきつすぎた昨日、土曜日の朝の電車で読み出して、あまりに悲惨すぎて乗り物酔い。途中でやめる。しかし結局、2日で読了。

父と子は「世界の終り」を旅する。人類最後の火をかかげ、絶望の道をひたすら南へ―(帯より)

生き物は死に絶え、灰の積もる世界。かろうじて生き延びた人々の多くは略奪を繰り返すものか、逃げ延びるものか、そのどちらか。冬が近づく中、父と子はわずかな荷物だけを持ち、寒さから逃げるために南をめざす。出会うほとんどの人間は略奪者。彼らに捕まれば奴隷か、あるいは食料になってしまう。物語の大半は二人の会話で構成される。なんとなく「火垂るの墓」を思い出させる。父親の他者への恐怖と残忍さ、わが子の愛しさ。少年は限りなく優しい。
私が、何を言いたいのかわからない作品って多いですよね、なんて飲みながら話していたから私にあげたくなったのかもしれない。自分から手に取るような作品ではないが、実に深い。読んで良かった。本当に。

ピュリッツァー賞受賞作。

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