『プログラム・オフィサー』
『プログラム・オフィサー 助成金配分と社会的価値の創出』
牧田東一 発行 編集工房球 発売 学陽書房
現場にかつて携わった方々によるレポート集。
プログラムオフィサーとは、研究費を助成する機関が研究者に配分する際に
その可否について判断する機関側の専門家。
アメリカなどではかなり前から導入されていて、その研究が資金を配分するに
ふさわしいものか、妥当な額が配分できているか、さらにその運用は適切か、
などを判断するエキスパートとして活躍している。
本書は、近年、日本の各省管轄の機関でも導入されだしたプログラムオフィサーに
ついて、既に導入していた海外の資金配分機関や国内の民間機関の事例紹介と
これからの課題について書かれている。
事例が充実しており、非常にわかりやすい。
最近、たまに研究費に関する説明会に行くのだが、結局、日本は枠組みを欧米
から持ってくるのはいいがその経緯や背景、中身を無視して導入しようとする
きらいがあるらしく、制度自体が骨抜きになってしまっていることが多いらしい。
プログラムオフィサー制度についても、各省庁は、既存の組織に無理やりあて
はめようとし、できる限り労力を省こうとするために、本来、適切な資金配分を
するための大切な機能であるはずのこのプログラムオフィサーの役割もいささか
不安が残るようだ。
研究者が、適正に研究資金の配分を受け、適正に運用していくためにも、
この制度が有効に機能してほしいなあ、と思う次第。
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