『世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えて』
柄谷行人・岩波新書
滋賀に住んでいた頃に書店で見つけ、気になっていた本。
評論家というものに興味はあったのだが、授業で小林英雄の初期評論集に挫折して以来、全く縁がなかった。しかし、柄谷行人はかねて読みたいと思っていた。
おあつらえむきに新書だし、先日買ってみた。
この本をなぜ出したのか。青臭いことを言うが、危機感だと思う。そして彼は評論家であり、できることは、筆を持つことだ。だから彼は筆をとった。
読んでいて、ときどき虚しくなった。なんだか地に足のつかない言葉に感じられたからだ。しかし彼は彼の精一杯の力で筆をとった気がした。
果たして。彼はあとがきでこう書いた。
「普通の読者が読んで理解できるものにしたいと望んでいた。
というのも、私の考えていることは、アカデミックであるよりも、
緊急かつ切実な問題にかかわっているからだ。」
国のありよう、国家のありよう、経済、そして世界帝国と世界経済と世界共和国。
マルクス、ヘーゲル、プルードン、そしてカント。
平明な言葉で読みやすくも興味深い内容だった。
難しいことを難しく。
簡単なことを簡単に。
当たり前のことだ。
簡単なことを難しくいうのは大した才能ではない。
しかし、難しいことを簡単にできるのは大した能力だし、それができてこその
専門家だと思う。
そういう意味で柄谷行人は優れた人だと思う。
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