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2006-05-03

梅安料理ごよみ

『梅安料理ごよみ』池波正太郎 佐藤隆介・筒井ガンコ堂 編 講談社文庫

根深汁と卵かけご飯を無性に食べたくなる本である。
思えば、池波正太郎と私の出会いはこの本である。
もともとが、親父の本棚から本を持って来ては読んでいた人間だが、
親父の時代小説趣味とハードボイルドものの趣味だけは興味がもてなかった。
結局、かたゆで卵ものは、平井和正くらいしか読まなかった。
しかし時代小説物はずいぶんと読んだ。山岡荘八、司馬遼太郎、山本周五郎、
隆慶一郎などなど。何せ、1人1人の作品が結構ある。かなり親父の本棚は
揃っていた。しかも面白いものは夢中になって読んだので、大抵、白々と空が
しだすころに読了してた。

さて、池波正太郎。私が好きなのは仕掛け人梅安シリーズと、秋山小兵衛シリーズ。
特に梅安さんは、最初に出会ったシリーズなので夢中になって読んだ。
そしてそのきっかけとなったのが前述のとおり、この本である。
池波正太郎の小説の魅力はキャラクターと場面ごとの雰囲気と、そして食べ物にある。
たとえば。

梅安が家へもどると、見事に肥った沙魚が十余尾、笊に入って台所へ置かれてあった。
どちらかといえ懶惰で、無愛想きわまりなく、金品にも執着がない藤枝梅安なのだが、鍼医としての腕は相当なものらしく、病気全快をした人びとがこうしていろいろ届け物をして来るのだ。
(中略)
台所の沙魚を見るや、梅安は、ぴちゃりと舌を鳴らした。食欲をそそられたらしい。
新年を迎えたばかりの、このごろの沙魚は真子・白子を腹中に抱いて脂がのりきっている。
梅安は、のろのろと鍋を強火にかけ、生醤油に少々の酒を加え、これで沙魚をさっと煮付けておいて、
「ふむ、ふむ・・・・・・」
ひくひくと鼻をうごめかしながら、居間へはこび、冷酒を茶わんにくみ、炬燵へ入ってすぐさま食べはじめた。
朝から、どんよりと曇っていた空から白いものが落ちはじめた。まだ七ツ(午後四時)にならなかったが、梅安は行灯にあかりを入れ、またしても箸を把って、残りの沙魚を平らげてしまった。頭も骨も残さぬ。

シリーズ第1巻『殺しの四人』の最初の話、『おんなごろし』の一節だ。
シリーズ最初の出だしである。それがこんなシーンからはじまるのだから、たまらない。
元来、私は煮魚が好きではなかったのだが、これを読んで以来、ふと食べたくなる。
大抵は、こんな粋には行かず、甘すぎるか辛すぎる。
学生時代の一人暮らしでずいぶんと梅安と小兵衛を読み返した。
まねできるものでもないが、似たようなことをやっては粋がってた。今もたまの一人の
とき、時間がゆっくりしていれば読み返す。
今朝も一人で読み返してた。するとたちまちに和食が食べたくなり、ご飯を温め返し、
残り物のひじきの煮たのと、インスタント味噌汁「あさげ」と、そして卵かけご飯で、
昼食をすませた。満ち足りたひとときである。
とかく、ヘルシー志向で和食が見直されるだとかなんだとかいわれるが、和食の
すばらしさを教えたかったら池波正太郎を普及させればよい。
それだけで、日本の和食人口は急激にのびるはずである。

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コメント

いやいや、読んでいてぴちゃりと舌を鳴らしますね、これ。
僕も煮魚は苦手なんだけど
(箸の使い方が下手)
それでも食べたくなってきます。

…今宵は煮魚に挑戦か?

食べたくなるんですよねえ。
でも、うまくいかない・・・・思えば、おいしい煮魚
ってこの人生の中であまり食べたことないです・・・。

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