キメラ 満洲国の肖像 増補版
中公新書 山室信一 著 を読了。
なかなか充実している。しかし、妙に著者が詩人で、いろいろな
詩や小説を引用するのがちょっと鼻につく。
主題となる本文のあとで、本文が政治学や法政思想的な視点
から書かれているために、書ききれない部分を補章で想定問答集
という形でフォローしたり、さまざまな形で内容を充実させている。
満洲という非常にデリケートなテーマを書いているだけに、非常に
慎重な文章で、ときにそれがまどろっこしくもなるが、全体として
興味深い内容であった。
もう一箇所、不満があるとすれば甘粕正彦のことがあまり書かれて
いなかった点が不満。満洲への私の興味は石原莞爾と甘粕正彦の
2人への興味に集中しているので、石原莞爾のことはかなり紙面を
さいているが、前述のとおり、政治学や法政思想的な視点に基づく
文章なだけに甘粕正彦はやや内容からずれた存在だったのかも
しれない。
しかし読み慣れない文体でかなり手間取った。しかも400ページ
という分量は個人的にはあまり読み慣れない量なので、なかなか
読み終わらなかった。というわけで。
あとがきと本文との感情表現の差が興味深かった。
感情的なあとがきは、なかなか泣けた。
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