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2005-11-27

産霊山秘録

「産霊山秘録」半村良・集英社文庫を読了。
読後感はそこそこよい。全体を通した感想としてはいまいち。
妖星伝の最終巻を思わせる脱力感が伴われた。
半村良の小説で、記憶にあるのは妖星伝だけなのだが、
最終巻の前まではすごい盛り上がりだったのに、最後は
宇宙の神秘まで行ってしまい、そこでどうも作者の限界を
感じてしまった。エヴァンゲリオンのTV版の最終回のような感じ。
要するに私はいいと思うけど、作品としてはどうよ?というオチで
ある。
「産霊山秘録」はどうも最初からそんな感じが漂っていた。
説明が増長で、物語になっていない感じもした。
章のたびに作者が変わり、それも緊張感を保たせない原因でも
あった。まあ、つまり一大SFスペクタクルではないのに、長編。
SF特有の小道具もいまいち。主人公たちの一族ヒの扱われ方も
いまひとつ。ただ73年という当時に書かれた作品としては十分すぎる
傑作かもしれない。「時空四百歳」はその中で個人的に光る一品。
この作品のためにもしも全編が描かれているとすればそれはすごい。
そうでなくてもやはりすごい。その後を描く「月面髑髏人」はやるせない
けど。

結局、ヒの一族を描いた短編集として読めばいいのだが、どうも主題と
なる流れからあまりに外れたところで主人公たちが野垂れ死ぬ姿は
どうもやるせなさ過ぎる。時代の影といってしまえばそれまでだが、
それにしてももう少し時代の中心で活躍させないと綺羅星のような英雄
たちとの噛み合わせがなっていない。そういう読後の不満の残る話だった。

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