クダンについて。
クダンという生き物がいる。
牛の体に人の顔という生き物で、牛から生まれ、未来を予言してすぐに死ぬ。
一言主のような生き物である。
内田百閒の小説にも登場するが、誕生したのは江戸時代のことである。
印象的なのはやはり水木しげる御大の絵である。一言主に比べると誕生の
経緯ははるかに不順である。牛の体に人の顔で件。「にんべんにうしだから
クダン」そういうことである。「クダンの話は本当だった。」という会話から
件(くだん)を妖怪にしてしまったというそれだけのしゃれである。
しかし他の妖怪に比べるとはるかに発生の経緯が特異であり、その風体も
また真実を口にしたら死んでしまうという有りようもまた特異であり、ある種
愛すべき生き物といえる。しかも予言自体が悪いものでもよいものでも対処
方法も教えてくれる。「~が起こるが、クダンの絵を軒に張ればまぬがれる」
とか、「クダンと何回唱えれば起こる」とか。正も邪もない。悪さをするわけでも
なく、ただ居るという意味でもよい。
内田百閒のクダンは、人に周りを囲まれ、悪い予言をしたら殺されるし、
そもそも予言をしたら死んでしまうという我が身のジレンマを抱えながら、
どうすればよいか戸惑い続けるクダンを一人称で描いていてなんとも物悲しい。
まあ、こういう変な妖怪が私は好きである。
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コメント
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なんとも思いつきかついい加減な生い立ちですね。
でもワタクシも件のクダンは、
件の水木しげる画伯の、
水木ロードで見た覚えが…
あ~、久々に鳥取に走りに行きたくなったなぁ。
投稿: たこすけ | 2005-08-22 10:32
水木ロード。いいですなあ・・・。
私も1回だけ行きました。よかったです。
あ、お祭、おつかれさまでした!
投稿: sheep | 2005-08-22 23:08
You can definitely see your skills in the paintings you write. The world hopes for even more passionate writers such as you who are not afraid to say how they believe. At all times follow your heart.
投稿: Sophia | 2014-02-22 13:59